ゆるやかな死
オバマ次期大統領が、「3年で代替エネルギー倍増」という方針を打ち出したそうです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090109-00000016-jij-int
自動車産業をどうするか、金融のルールをどうするかという難題は別にあるとして、とにかくこういう「新たな方向性」を打ち出せるところが偉いところです。「緑のニューディール」というキャッチフレーズも非常にわかりやすいし、選挙期間中から際立っていたアピール力の面目躍如というところ。
実際に3年で倍増できるかはまだわかりませんが、少なくとも「そうか、そういう方向性もあったか」と国民、労働者、経営者、マーケットに思わせるだけでも、動脈硬化に陥った金の流れを刺激する効果はあると思います。一度動き始めてしまえば、3年で倍増というのも夢物語ではないはずです。けっして。新しい産業を生み出して、そこに雇用を創出するというのは、当り前のことだけど国の方向性を決めるうえでとても大事なことですよね。高等教育の方向性だって、それによって大きく変わります。
本来、政治の役割って、こういうものではないですか?
定額給付金がどうだの、失業者の住むところがどうだのというのは、大方針をきちんと打ち出した後の話でしょう。いま議論されていることは全て、「今の痛みをどう取り除くか」の話であって、明日のことは特に考えてないと言ってよいと思います(せいぜい総選挙まで)。日本の政治で議論されていることって、ここ数年は全てそう。現在ならまだマシな方で、過去の失策(年金とかね)をいくら議論してたって、新しい産業は生まれません。
でも仮に「緑のニューディール」を日本で打ち出しても、たぶんダメでしょうね。風車は電力会社とか地域住民が反対するし、バイオエタノールは農家が反対するし、地熱を開発しようとすれば温泉協会が反対する。潮流発電なんかも日本では有望だと思うんだけど、漁業権という既得権益の代表選手がいます。
日本って「環境技術大国」みたいなことが言われますけど、産業の基盤は全く育ってないし、知的基盤も海外において行かれつつあるし、実際は脱落しつつあるんですよ。それもこれも、国内でちゃんとした導入政策を打ち出すことができてないからです。ちょっと反対されると、すぐ引っ込めてしまうか、下方修正されてしまう。
もちろん、人それぞれ、自分の生活は大事ですから、既得権を守ろうとする個々人が悪いわけではありません。そうではなく、そういう「既得権への執着を集票につなげるしか能のない政治家」しかいないところに日本の苦悩はあります。
「自民か、民主か」というと一見大きな違いに見えますけど、「守られる既得権」の範囲がごく僅かに変わるだけなんですよね。「自民か、民主か」というのは、「自民と民主のどっちが自分の既得権を守ってくれそうか」という問いでしかない。本音の部分にそういうのはあって当たり前ですが、それもこれも「国の大方針」を考える義務を果たした後の話。
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「米百俵」ではありませんが、将来を作り出すために、今の痛みは我慢しなければならないことは、当然あるとおもいます。それは、個人の人生においても同じことです。でも、それを言うだけで、日本では「弱者切り捨ての大悪人」というレッテルを張られてしまいます。
大手術が嫌だから、モルヒネを打って痛みを抑えて、快方に向かうことなく、緩やかに死ぬ。
それを国民の総意として、主体的に選択するのであれば、民主主義である以上、それを是とするしかありません。ただ、本当にそれでいいのか、ちゃんと問われることはない。あまりの「衆愚政治」ぶりに悲しくなってきました。
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